活動内容

河川などの環境放射能線量の調査

私達が、昔、多摩川の下流近くの河原で遊んでいた頃は、川に入ると水がきれいで、空気がおいしかった。やがて、周辺地域の発展につれ一時期、川の水を水道水として利用できなくなるほど水質が悪化した。そして、今、東日本大震災に伴う津波により原子力発電所で事故が発生し、新たに人工放射性物質による環境汚染という危機を迎えている。東京においては利根川や荒川水系の浄水場で水中の放射性ヨウ素に関して乳児の規制値を超える値が検出された。これは大気、土壌そして森林を含む河川などの水源が放射性物質により汚染されていることを示唆した。

チェリノブイリ原子力発電所の事故でさえ日本に影響があったことから、日本国内のみならず地球上のいかなる場所における事故であっても、水道は影響を受けると考えられる。

一方、水道の断水は阪神・淡路大震災で70日間生じている。折しも、足元の首都圏では東京湾北部地震がいつ起きても不思議ではないと想定されている。

このような状況の中で、多摩川流域に在住の多くの人々は、地震などの大規模災害や放射性物質の汚染による健康への影響に対して大きな不安を抱いている。そこで一般の人々が災害、水と健康について適切な学びの機会を必要としている。従って、人々の不安を少しでもやわらげるためには、多摩川流域の汚染状況の正しい把握と、そのための情報の提供がなされることが求められている。

そこで、まず、多摩川流域の大気、土壌および河川水などの放射性物質の測定を行う。その上で、放射性物質が大気中から森林そして土壌へ移行し雨などにより河川に流入し、それが水道水になっていくという汚染状況の把握をする。また、災害時における水道の断水やそれによる社会への影響を、過去の事例を基にヒトの健康維持という面から分析する。

これらの研究成果をもとに、多摩川流域の人々をはじめ、広く一般の市民に対して、体系的に放射能汚染に対する環境保全や安全・安心な飲料水の確保策について学べる機会を設けていく。さらに正しく恐ろしがる放射線対策という視点からも、医療被曝や中国などアジア世界の被曝状況も学び、広い視野を持つ市民の育成にも努める。

性感染症の予防およびその実態調査

性感染症は若者を中心に蔓延してきている。これを阻止するために性感染症の予防を目的にした講演会、市民公開講座を行ってきた。しかし、本症がどの程度拡がっているかについては明らかでない。そこで、千葉県性感染症研究会、千葉県泌尿器科医会、千葉県産婦人科医会、千葉県皮膚科医会と共同で、千葉県での性感染症実態調査を行って来た。これは、2006年に、当時の東京慈恵会医科大学、感染症制御部の小野寺昭一教授が厚生労働省の班研究「厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業 性感染症に関する予防、治療の体系化に関する研究」の主任研究者に決定して、伊藤晴夫と五十嵐辰男が研究協力者になったことから始まった。全国の実態調査に関するパイロットスタディーの一環であり、千葉県、石川県、兵庫県、岐阜県で行い次の段階で全国に拡げるという趣旨であった。2008年より、さらに岩手県、茨城県、徳島県が加わっている。
この研究班は2009年から二期目の継続が認められ、実態調査は継続中である。

河川の癒し効果、飲料水検査

水質検査測定事業:ヒト細胞の増殖や遺伝子に対する毒性を評価できる水質検査法を独自に開発してある。生命科学的検査法であり、従来法とは異なり、ヒトにおける水の安全性評価基準を提供できる。
河川の癒し効果測定事業:河川空間の効用を健康維持管理の観点から理解することを深める目的で、市民参加型の公開講座を開催している。市民自身が河川環境によるストレス緩和を医学的に実感できる効果をもたらす。公開講座の様子は、本ホームページ上で近日公開予定である。


高齢者の健康増進

高齢者の健康増進活動は、NPOを始めとする多くの団体で盛んに行われているが、科学的検証を従った活動や専門家によるレクチャーを同時開催することで、相乗的効果が期待できる。我々は、医師や教員および海浜スイミングクラブのスタッフ(リンク参照)と連携して、癒し効果の科学的検証例や健康維持管理を包括した市民講座を開催し、健康増進に関する啓蒙活動を行っている。また、水泳教室や河川でのハイキングなどの市民参加型のイベントを実施している。今後は、高齢者が気楽に参加できるスポーツ、ダンスなどのイベントなどを企画予定である。また、河川、海岸での散策や清掃による高齢者の交流会など、自然環境がもつ癒しの効果を体験できるようなイベントも企画している。


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